2011年02月15日
友引ツーリングクラブ2
康平と梨花、しらみや坊主の付き合いはもう7年になる。二人が小学校5年生の時、地域の歴史を調べることになった。このあたりで一番歴史が古い三明寺に話を聞きに行ったのが最初だった。子どもはしらみや坊主みたいな壊れた大人が大好きだ。
遠い昔、三明寺の前まで豊川の川岸があったこと、そのころの岸沿いに通っていた道の話を聞いた。
また、三明寺に伝わる弁財天を見せてもらい、鎌倉時代に戦火に遭ったとき弁財天が立ち上がった話を面白おかしく語ってくれた。中学生のころには塾の帰りに肝試しもした。康平が思い出話を始めた。
「ねえ、梨花ちゃん。憶えてる? 中学の夏休み、肝試ししたじゃない」
康平の言葉をとちゅうから梨花が取った。
「そうそう。あの時、康平がおばけの役でお墓の影に隠れていたところへ、よその人が来たのに康平ったら私とほかの友だちだと思って脅かしたのよね。お岩さんのメークで!」
康平がうなずく。
「そうだよ。でその人、腰抜かしちゃって。みんなで出て行ってあやまったけど、後で聞いたら、そいつ、仏像を盗みに来た泥棒だったことが分かったんだよね。あの時は、スゲーご馳走してもらったね」
「あの時は、ほんとどうなるかと思ったね。だけど、あのしらみやさんって、なんか危ないのよね。今度ももなにか胸騒ぎがする。ねえ、康平。大学始まるまで、まだ2週間ぐらいあるよね。ちょっと面倒見てあげようか」
梨花が言って、もちろん康平がうなずいた。
夕闇が迫ってくると、三明寺にぞくぞくとバイクが集まってきた。梨花と康平は本堂の影にかくれていた。バイクに乗ってきた男たちは、ヘルメットを取って本堂へ上がっていく。友引ツーリングクラブというくらいだから、メンバーは全員坊さんだ。ヘルメットをとってもほとんど見た目は変わらない。
「ねえ、梨花ちゃん。ヘルメットinヘルメットだね」
小声で康平が言い、梨花は必死に笑いをこらえた。
「みんな集まってくれたかな。昼間電話で言ったことだけど、ちょっといい話なんだ」
本堂からしらみやの声がもれてくる。
「昨日、ある不動産屋から電話があってねえ。悪魔払いをしたら、報酬は1000万だ」
集まって坊主たちのため息が聞こえてきた。
「ねえ。梨花ちゃん。悪魔祓いだって。しらみやさんに出来ると思う?」
康平が小声で言った。
「しー。そんなことできるわけないじゃない。あのしらみやさんに」
梨花はふき出すのを必死にこらえた。つづいてしらみやの声が聞こえてくる。
「場所は、東名に近くの新しい高層マンションなんだけど、夏至の頃朝になると大きな目玉が現れるらしい」
「だいじょうぶなのか? おまえ、そんな化け物払えるのか?」
友引ツーリングクラブのメンバーの声だった。
「だいじょうぶだって。うちの寺にある、弁財天は運が強いんだ。なんたって、あの頼朝の軍勢に火を放たれても平気だったんだぞ。その弁財天をお守りしておれが、そんな化け物に負けるわけがない」
むちゃくちゃな理屈から来る自信に笑いが起こった。そして、ついに梨花の笑いが爆発した。康平はおろおろするばかりだった。
「そこに誰かいるのか?」
しらみやが見に来て、康平と梨花は姿をあらわした。
「なんだ。愛し合う二人。まだいたの?」
しらみやは当たり前に二人を本堂にあげた。
遠い昔、三明寺の前まで豊川の川岸があったこと、そのころの岸沿いに通っていた道の話を聞いた。
また、三明寺に伝わる弁財天を見せてもらい、鎌倉時代に戦火に遭ったとき弁財天が立ち上がった話を面白おかしく語ってくれた。中学生のころには塾の帰りに肝試しもした。康平が思い出話を始めた。
「ねえ、梨花ちゃん。憶えてる? 中学の夏休み、肝試ししたじゃない」
康平の言葉をとちゅうから梨花が取った。
「そうそう。あの時、康平がおばけの役でお墓の影に隠れていたところへ、よその人が来たのに康平ったら私とほかの友だちだと思って脅かしたのよね。お岩さんのメークで!」
康平がうなずく。
「そうだよ。でその人、腰抜かしちゃって。みんなで出て行ってあやまったけど、後で聞いたら、そいつ、仏像を盗みに来た泥棒だったことが分かったんだよね。あの時は、スゲーご馳走してもらったね」
「あの時は、ほんとどうなるかと思ったね。だけど、あのしらみやさんって、なんか危ないのよね。今度ももなにか胸騒ぎがする。ねえ、康平。大学始まるまで、まだ2週間ぐらいあるよね。ちょっと面倒見てあげようか」
梨花が言って、もちろん康平がうなずいた。
夕闇が迫ってくると、三明寺にぞくぞくとバイクが集まってきた。梨花と康平は本堂の影にかくれていた。バイクに乗ってきた男たちは、ヘルメットを取って本堂へ上がっていく。友引ツーリングクラブというくらいだから、メンバーは全員坊さんだ。ヘルメットをとってもほとんど見た目は変わらない。
「ねえ、梨花ちゃん。ヘルメットinヘルメットだね」
小声で康平が言い、梨花は必死に笑いをこらえた。
「みんな集まってくれたかな。昼間電話で言ったことだけど、ちょっといい話なんだ」
本堂からしらみやの声がもれてくる。
「昨日、ある不動産屋から電話があってねえ。悪魔払いをしたら、報酬は1000万だ」
集まって坊主たちのため息が聞こえてきた。
「ねえ。梨花ちゃん。悪魔祓いだって。しらみやさんに出来ると思う?」
康平が小声で言った。
「しー。そんなことできるわけないじゃない。あのしらみやさんに」
梨花はふき出すのを必死にこらえた。つづいてしらみやの声が聞こえてくる。
「場所は、東名に近くの新しい高層マンションなんだけど、夏至の頃朝になると大きな目玉が現れるらしい」
「だいじょうぶなのか? おまえ、そんな化け物払えるのか?」
友引ツーリングクラブのメンバーの声だった。
「だいじょうぶだって。うちの寺にある、弁財天は運が強いんだ。なんたって、あの頼朝の軍勢に火を放たれても平気だったんだぞ。その弁財天をお守りしておれが、そんな化け物に負けるわけがない」
むちゃくちゃな理屈から来る自信に笑いが起こった。そして、ついに梨花の笑いが爆発した。康平はおろおろするばかりだった。
「そこに誰かいるのか?」
しらみやが見に来て、康平と梨花は姿をあらわした。
「なんだ。愛し合う二人。まだいたの?」
しらみやは当たり前に二人を本堂にあげた。
Posted by ひらひらヒーラーズ at
23:50
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2011年02月15日
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今度の土曜日、石巻山で法螺貝の体験会があります。石巻山山上社の前のへんで10時からです。
法螺貝貸し出します。
ぜひおいでください。
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Posted by ひらひらヒーラーズ at
07:56
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